なぜ、他の医院では安易に「抜歯になります」と言うのでしょうか?
グラグラの歯をポンっと抜歯するのと、固定して回復するのを待ち、
歯ぐきが引き締まって元の状態に戻していくようにするのと、
どちらが簡単でしょうか。
歯周病でグラグラになった歯や、ひどい虫歯になった歯を残す治療には、
技術と知識と手間暇がかかります。
手先の細かい作業が要求され、患者さんには診療台を長時間占有され、
それなのに保険点数は低いのです。
手間の割に儲からないから、歯を残す治療はどうしても歯科医に敬遠されます。
しかも、歯を残す治療はその後の収入につながりませんが、
抜歯すれば、ブリッジや入れ歯、インプラントなどの
次の利益が生み出されます。
そのためかどうかは分かりませんし、技術の問題もあるのだとは思いますが、
残念ながら歯科の風潮として、徐々に「残せそうもない」の範囲が広くなり、
歯科医本人も抜歯という選択を正当化しながら、
(私から見れば)安易に抜歯をするのが慣習のようになってしまっているようです。
でも、永久歯は一度抜いてしまったらもう生えてきません。
抜歯後の治療として使われるブリッジも入れ歯も、
自分の歯と同じような噛み心地には程遠いと患者さんはおっしゃいます。
やはり、自分の天然の歯、天然歯に勝るものはありませんから、
ご自身の歯を大切にしていただきたいです。
どうも私の目には、歯科医が手間と診療報酬を天秤にかけて、
楽な方へと流されている風潮があるように見て取れます。
そして、それが患者さんにとって大変な不利益を生んでしまっています。
私は、歯科医になって 34年間、歯科医の本分として、
「健全な歯質はできるだけ残す。できるだけ抜歯しないで長持ちさせる」ことを目指して治療を行なってきました。
これからも、その方針がぶれることはありません。
他院での抜歯という診断に納得のいかない方、
どうにかして残す方法はないか探している方、
抜歯をしてしまう前に、一度当院までご相談ください。
下の写真は、他院2軒で抜歯と診断された患者様の症例です。
歯周外科治療後、ファイバーコアとハイブリットセラミックスクラウンにて
無事治療ができました。