「この歯はもう残せない」と判断する基準は、歯医者さんによって異なります。
その先生が元々「歯を残したい」と思っているか、「インプラントや入れ歯などの次の治療に進みたい」と
思っているかで、抜歯するかどうかの判断が甘くなったり厳しくなったりします。
当院に来られた患者様からよくお聞きするのが、
『よその医院で「抜歯しかありません。歯を抜いたところにはインプラント
を...」と言われたのですが...』
というケースです。
セカンドオピニオンを求めて何軒も歯医者さんを回り、
どの歯科医院でも口をそろえたように「抜歯」→「インプラント」を
すすめられた患者さんもおられます。
当院のホームページを見つけ、藁をもつかむ気持ちで来院された下の写真の
患者さんは、右上の犬歯(3番)が虫歯で崩壊して、
約5年前より、いわゆるC4と呼ばれる残根状態(歯の根しか残っていない状態)に
なっていたそうです。
「C4まで進行した虫歯は抜歯」というのは、
保険の歯医者さんでは一般的な判断です。
歯を残す治療には技術も知識も必要で手間暇もかかり
治療時間も長くかかるのに、保険点数が低いのです。
一方で、抜歯すればブリッジや入れ歯、インプラントなどの
次の利益が生み出されるのは事実です。
良い先生だとしても、「経営」の文字が頭をかすめたときに、
徐々に「残せそうもない」の範囲が広くなり、
歯科医本人も抜歯という選択を正当化しながら、
(私から見れば)安易に抜歯をするのが歯科の慣習のようになってしまっているようです。
永久歯は一度抜いてしまったらもう生えてきません。
抜歯後の治療として使われるブリッジも入れ歯も、
自分の歯と同じような噛み心地には程遠いと患者さんはおっしゃいます。
安易な抜歯の風潮は、患者さんに大変な不利益を生んでおり、
やはり、自分の天然の歯、天然歯に勝るものはありませんから、
ご自身の歯を大 切にしていただきたいです。
私は、歯科医になって 34年、歯科医の本分として、
「健全な歯はできるだけ残す。できるだけ抜歯しないで長持ちさせる」ことを
目指して治療を行なってきました。
これからも、その方針がぶれることはありません。
他院での抜歯という診断に納得のいかない方、
どうにかして残す方法はないか探している方、ご相談ください。