先日、他院で治療した歯が破折(割れたり折れたりすること)した患者さんが
来院されました。
保険金属のコア(土台)ではよくあることですが、
なんとこの方は、自費のファイバーコアとセラミッククラウンを入れたにも関わらず、
歯の根が割れてしまったのでした。
破折した後に2軒の歯科医院で診察を受けたそうですが、
「抜歯」の診断でした。
抜歯になれば、入れ歯か、天然歯を大きく削るブリッジか、インプラント手術です。
まだ30代の患者さんですし、せっかく自費の良いものを入れたのに...と
相当ショックを受けられたことと思います。
ファイバーコアは歯と同じように「しなる」ので、
基本的に破折することはないと言われています。
当院でレントゲンを撮り精査したところ、ファイバーコアが短く太すぎること。
そして、ファイバーコアの方向が間違っていることが破折の原因だったことが分かりました。
この歯科医師が、なぜこのようなファイバーコアを入れたのかは分かりません。
ミスと断言することはできませんが、 少なくとも、腕が良いとは言えない治療がなされていたのは事実です。
“歯が割れたら抜歯”という診断が歯科医院では当たり前のように下される風潮が ありますが、
この方は歯根が3分の2残っていたので、何とか残せると判断して治療を行いました。
問題のファイバーコアと破折した歯根を除去して、後日歯周外科を行ない、
ファイバーコア、オールセラミッククラウンで無事に治療を終えることができました。
患者様も、ホッとした表情で「とてもキレイに仕上がって良かったです」とおっしゃっていました。
最新の高額な器械や、自費の良い素材を使っても、
歯科医の腕が悪ければ歯はすぐに悪くなってしまいます。
当院で行なっているのは華々しい目新しい治療ではありませんが、
「患者さんの天然歯を最大限残す」ことをめざして努力と改善を重ねてきました。
その結果、他院で抜歯と言われた歯を残す治療ができています。
歯は抜いてしまったら終わりです。
最善の治療を行ない、あなたの歯が5年、10年と長持ちするように、
生涯悪くならずに過ごしていただけることを願っています。