歯医者さんは好きですか?と聞かれて、
好きです!と答える方はほとんどいないのではないでしょうか。
子どものころ、私はムシ歯だらけで本当に苦労しました。
親も、「歯みがきしなさい」なんてうるさく言わなかったので、
口の中はムシ歯だらけでムシ歯でない歯がないくらい。
歯が痛くなってからやっと歯医者さんに行き、
もっと痛い思いをして治療をしてもらいました。
「歯医者さんは痛くてこわいところ。」
私も子どものころはずっと、そんな風に思っていました。
子どものころの私のように、歯が痛くなってから、
あるいはギリギリまで我慢してから歯医者さんに行く人が
今も多いかもしれません。
歯医者さんに行きたくない人の気持ちは様々でしょう。
痛い治療が嫌。
こんなになるまで放っておいて、歯医者さんに怒られるかもしれない。
お金がもったいない。
何回も通院するのが面倒など…。
歯が痛いのを我慢しながら来てくださった患者さんは、
かつての自分自身だと感じます。
患者さんの悪くなってしまった歯と向き合いながら、
自分が痛い目にあって苦労したことを患者さんにさせたくない、
1本でも多くの歯を救いたい、できるだけ削らずに治したい、
できるだけ抜かずに残したいと思っています。
先日来院された患者さんは、約1年前、別の医院で
左下の第1大臼歯(6番)を治療したそうですが痛みが取れず、
他の医院に2件行っていずれも抜歯の診断を受けたそうです。
診察しますと、歯の内部に4か所も穿孔(Perforation)ができていました。
穿孔というのは、ムシ歯がどんどん進んで歯根に達した後、
歯ぐきまで溢れてしまった状態です。
この場合は歯根分割を行なって、
ていねいに歯周外科治療を行なえば歯を残すことができます。
でも、他の歯医者さんでは抜歯の診断。
これはどういうことでしょうか?
おそらく、その歯医者さんたちも歯根分割の知識は持っていたと思います。
しかし、歯ぐきの下の深いところを治す歯周外科は、
手間がかかるのに保険点数が安い。
さらに、技術的に難しく知っていてもできない。
だから「(当院では)抜歯になります」という答えになるのだと思います。
抜いてインプラントの方が儲かりますし、
たとえ保険でも、抜いてブリッジを入れた方が効率が良いと
考える先生もいるかもしれません。
歯科医があきらめなければ、残せる歯はたくさんあります。
自分の金勘定を優先して歯を残す治療を避けているうちに、
歯を残す技術そのものを失ってしまったのでは意味がありません。
歯医者の仕事は患者さんの歯を守り、残すことです。
歯の悩みや治療で気がかりなことがありましたら、何でもご相談ください!