●治療した歯に虫歯が再発する原因の一つは、虫歯の取り残し!
もし虫歯になっても、歯医者さんに行って治してもらえば大丈夫!
…と思いますよね。
ところが、当院に初診で訪れた患者さんの歯を診ますと、
昔歯医者さんが治療したはずの銀歯の下に、
取り残しの虫歯が見つかることがよくあります。
なぜでしょう?
実はこれには、「保険治療の弊害」ともいうべき問題が絡んでいるのです。
保険点数は治療内容ごとに一律で、
ていねいに治療しても杜撰な治療をしても同じ点数です。
歯科の保険点数は総じて低いので、
薄利多売で大勢の患者さんを診ないと経営が成り立ちません。
虫歯の見落としや取り残しも起きやすいですし、
昔、私が勤務医だったころの院長には、
「虫歯じゃないところも大きく削っておいてね!」と言われました。
●保険治療では、治療の規模が大きくなるほど点数が高くなり、歯医者の売上が上がる
保険の構造上、歯は小さく削るよりも大きく削る方が点数は高いですし、
神経を残すよりも、神経を取ってかぶせ物をした方が点数が上がります。
意図的にそのようにする先生がいるかどうかは分かりませんが、
保険の仕組みの中で治療をしている以上は、
「できるだけ削らずに治すには」
「できるだけ神経を残せるように治療するには」ということへの
アンテナ感度を高めるのは難しくなるのだろうと思います。
●歯医者さんもあまり知らない、抜髄(歯の神経を取る)を回避する特殊なセメント
先日、治療した銀歯の下が虫歯になってしまった患者さんが来院されました。
虫歯菌に感染した歯質を除去すると、
2箇所、歯の神経が通っている管に穴が開いて虫歯菌が入り込んでいました。
痛みも出ていたので、ここまできたら、
通常は抜髄(歯の神経を取る)の適応症です。
でも、「神経を取りたくない」という患者様の強いご希望もあり、
虫歯をていねいに取り除いた後、
『JIAREX(次亜塩素酸水)』で殺菌し、
神経につながってしまった穴をふさぐ『MTAセメント』を使い、
『ハイブリッドセラミックス』で歯を復元しました。
この治療の最大のポイントであるMTAセメントは保険がききませんし、
この方法は、すべての歯医者さんがご存知というわけではないようです。
でも実は世界的に認められているスタンダードな方法で、
成果も着々と上がっています。痛みがなくなり、
神経も残すことができて、患者さんにも大変喜んでいただけました。
神経があれば歯は長持ちします。
虫歯の取り残しがなく、つめ物やかぶせ物がぴったりと合っていたら、
毎日の歯みがきと、甘いものをだらだらと飲んだり食べたりしないなどの
生活習慣に少し気を付けていただくだけで、
虫歯が再発する確率がグッと低くなります。
ぜひご自身の歯を大切にして、一生使い続けていただきたいと願っています。