当院には、「他院で『抜歯!』と言われたが、何とか歯を残したい」
患者様が多く来院されます。
下の写真の患者様も、他院にて『根管治療中』に、
右上第2大臼歯(7番)が大きく破折したそうです。
その後、他院3軒にて「抜歯!」の診断を受けたそうですが、
職業柄(看護師)、「抜歯を回避して歯を救う方法」を必死に探して、
当院ホームページを見つけ、はるばる香川県から来院されました。
当院にて精査したところ、【歯が縦に真っ二つ!】の状態でした。
しかも、頬側歯肉に腫脹もあり、「細菌感染」も明確でした。
非常に難易度の高い症例でしたが、
患者様の熱意に応えるため治療を開始しました。
まず、当院にて、『根管治療』を行ない、『歯周治療』後に
『ファイバーコア』で、 破折部位を含め『接着補強』。
症状の消退を確認後、『オールセラミッククラウン』で審美補綴いたしました。
約3年経つ現在も良好な経過を示しています。
私の治療経験34 年の中でも、トップクラスの難症例でしたが、
無事に歯を残すことができて安堵しております。
ところで、日本における根管治療の失敗率は50~70%!という
データをご存知でしょうか?
一般の歯科医院では根管治療は保険で行なわれますが、保険点数が低いため、
「なるべく手間と時間をかけずに治療を終わらせないと、
経営が成り立たない」と考える歯科医もいます。
実際、『手早く治療するために、健全な歯質も含めて
大きく削り落とされてしまった歯』や
『病巣が残っているのに、治療途中でふたをされてしまった歯』を
よくお見掛けします。
患者様には、お口の中でどんな治療が行なわれているのか、
本当はどれくらい歯を残すことができるのかは分かりません。
やはり、医療者の良心と、技術と経験の積み重ねが、
患者様の将来を左右すると感じます。
これからも、患者様の歯を残す治療を、
日々懸命に行なって参りたいと思います。